喉の痛み、お腹の痛み、頭痛など日常生活で身体の不調というものはふとした時に現れますね。
そんなちょっとした身体の不調なのに「もしかしたら癌かも…」という思考に陥り、大きな不安に悩まされてしまい、日常生活にも影響してしまうのが癌恐怖症(キャンサーフォビア・カルチノフォビア)です。
癌ノイローゼとも呼ばれています。
この癌恐怖症は、疾病恐怖症という様々な病気に対して異常な恐怖心を抱いてしまう恐怖症の中の一つに分類されます。
癌恐怖症以外ではエイズ恐怖症の方の割合が多いと言われていますね。
周囲の人からは心配し過ぎだと軽くあしらわれてしまう癌恐怖症ですが、本人からしてみれば自分は既に死の宣告をされたかのような不安と絶望感で頭がいっぱいになってしまう本当に苦しい病気です。
そんな癌恐怖症とはどのような病気なのか?そしてどうやってその病気と付き合っていけばいいのかを記していきたいと思います。
癌恐怖症とはどういう病気なのか?
癌恐怖症とは、身体に起きたちょっとした異常を癌だと思い込み、自分は癌で死んでしまうという異常な恐怖と不安に苛まれてしまう病気です。
例えば、口の中に出来た口内炎を癌ではないかと不安に感じたり、喉の痛みを喉頭癌だと思い込み通院を繰り返したりと、ちょっとした身体の異変を癌ではないかと疑ってしまうのが癌恐怖症の特徴です。
ガン恐怖症は癌ノイローゼとも言いますが、疾病恐怖の一種であり、自分がガンになってしまうのではないかと不安になり、恐怖感を持ってしまう症状になります。
疾病恐怖の中でも精神病恐怖やエイズ恐怖と同様に最も多く見られる症状です。
MT心理カウンセリングルームより引用
癌という病気は誰もが恐ろしいと思っていますよね。
癌と宣告される=自分はもう死んでしまのではないかという大きな恐怖と不安をみなさん持っていると思います。
勿論それだけで癌恐怖症というわけではありません。
癌恐怖症になってしまっている場合、ちょっとした腹痛などの身体の異変を癌だと思い込み、大きな不安や絶望からを感じてしまい学校や会社に行けなくなってしまったり、何件もの病院を訪れ検査を繰り返すドクターショッピングをしてしまうようになります。
普通であれば、一度医者に診てもらえば安心してそこで不安は解消されるものですが、癌恐怖症になっている場合は医者のことを信用できず、何度も通院をしたり他の病院にセカンドオピニオンの検査に行くという事を繰り返してしまうのです。
周りの人から見ればどうしてそこまで…と思うような行動をとってしまいますが、癌恐怖症の人はとにかくその不安を解消するために必死に行動してしまいます。
不安や恐怖から逃れるために、とりたくもない行動をとってしまう非常に苦しい精神病だといえるでしょう。
更に厄介なことに、病院に行って検査を受けて一つの不安箇所が消えたとしても、また新しい不安箇所を見つけてしまう場合もあるのが癌恐怖症の恐ろしいところです。
例えば、今までだったら全然気にすることの無かったホクロや、ちょっとしたしこりが異常に気になりだし、ネットで調べて本当はこっちが癌じゃないのかな…というような事を繰り返す場合があります。
このレベルにまでなると日常生活にもかなり支障をきたす段階だと思われますので、早急な対応が必要となります。
どうしたら癌恐怖症の不安を解消できるのか?
一度でも癌恐怖症の負のスパイラルに陥ってしまうと、そこから抜け出すのは容易なことではありません。
常に癌かもしれない…という不安と恐怖に苛まれてしまいますし、死という絶望感に押しつぶされそうになってしまうのです。
ではどうすればこの癌恐怖症の苦しみから抜け出すことが出来るのでしょうか?
病院でしっかりと検査をする
まず一番最初にしなければならないのは病院でしっかりと検査をすることです。
これは既に行っている方も多いでしょうが、自分が癌だと医者から宣告されるのが怖くて病院に行くことが出来ない人もいるでしょう。
でも勇気を出して検査をして下さい。
検査も内視鏡などは少し苦しい思いをするかもしれませんが、それでも検査をして何処にも悪い所が無いと医者の口から言われれば一先ず安心感を得ることが出来ます。
不安や恐怖と戦う時間をダラダラ長引かせるのではなく、思い切って検査を受けましょう。
ただの問診だけでは不安が解消されない場合があるので、気になる部分を徹底的に検査してしまいましょう。
血液検査、胃カメラ、大腸検査などは積極的に行うべきです。
お金と時間に余裕があれば、人間ドックやPET検診もいいですね。
とにかく今あなたの身体が健康体であるということを認識することが大切です。
検査も勇気がいりますが、あなたが不安に思っていることの大半は現実で起こらないものですよ。
ネットで病状を検索しない
Google症候群という言葉を聞いたことがありますか?
Googleで病状を検索することで最悪な状況だと自分で判断してしまい苦しみのスパイラルに陥ってしまうのがGoogle症候群です。
今はインターネットで様々な情報を簡単に入手することが出来る非常に便利な時代です。
自分の身体の不調をネットで検索すれば簡単に情報が手に入ります。
しかし、ネットの情報は曖昧な表現が多く、軽い症状から重い症状まで様々な可能性がそこには記されています。
もちろんそこには癌という可能性も書いてあります。
癌恐怖症に陥ってる場合、思考にバイアスがかかっているため最悪な状態に自分を置き換えてしまう可能性が高くなります。
自分の状態を確認したいという気持ちはよくわかりますが、不安や恐怖を抱えたままネットで病状を検索すると、まず間違いなく癌恐怖症は悪化するでしょう。
ネットで病状を検索しないという努力をしてみて下さい。
癌の闘病記などのブログは間違いなくあなたの症状を悪化させるので見ないように注意して下さい。
心療内科や精神科に行く
癌恐怖症は身体の病気ではなく心の病気です。
内科などでしっかりと検査をしても不安が解消されないのであれば、病に蝕まれているのはあなたの心です。
心の病気は心の医者に治してもらう他ありません。
心の病の専門家に指導をしてもらい、あなたにあった解決方法を探すことが大事です。
ただ、心療内科や精神科の先生は簡単にしか話を聞いてくれません。
根本的な解決をはかるためには心理カウンセラーに相談をして、じっくりと話を聞いてもらい、その症状にあった対処方法というものを教えてもらうのがおススメです。
抵抗があるかもしれませんが、心療内科や精神科に行くという選択肢も頭の中にいれておきましょう。
病は気から!プラス思考を見つける訓練を行う
病は気からと言いますよね。
あなたが自分を癌だと思い込み続けてしまっている状態が長引けば、大きな不安や恐怖という多大なストレスから自律神経が乱れ、様々な身体の不調が表れてしまいます。
それが原因で、また新しい癌の可能性を見つけて不安になるという繰り返しをしてしまう可能性があるので注意が必要です。
マイナスな思考はそれだけでストレスになり免疫力を弱めてしまいますし、不眠などの原因にもなってしまいます。
現代の医療は大きく発展していますから、もし癌だとしても早期発見であればかなりの確率で治癒が可能です。
それにもし癌だとしても数秒後に死ぬわけではありません。
すぐに自分は死んでしまうという恐怖を持つことはないのです。
早期発見であれば完治出来る癌も増えています。
むしろあなたが癌恐怖症になったおかげで、体に異常があればすぐに医者に行くことが出来るようになったので、普通の人よりも早期発見が出来て治癒の可能性が高まっていると考えることも出来ます。
癌になりたくないという強い気持ちが生まれたからこそ、今まで関心を示してこなかった健康にも気を遣うようになりますからね。
誰もが癌になってしまう可能性はありますが、少しでも自分がプラスに考えることが出来る方法を見つけ、それが継続するような訓練を行うようにしましょう。
マイナス思考に流されるのは簡単ですが、プラス思考に切り替えようとするのは大変なことです。
ですが、そこは自分と戦わなければなりません。
一度しかない人生です。
マイナス思考で不安と恐怖の中で生きるよりも、プラス思考でポジティブに生活できるように思考の訓練を行って欲しいと思います。
健康的な生活習慣を身に着ける
自分が癌になるかもしれないと考えてしまう場合、あなたの生活習慣が健康的でないことが原因で、そうなってしまっている可能性があります。
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食事には気を使ってますか?
喫煙・飲酒はしていませんか?
睡眠時間は十分にとれていますか?
日ごろ適度な運動はしていますか?
あなたが思う健康方法があると思いますが、もしそれら全てをしっかりと実践できているのであれば、ちょっとした身体の不調で自分が癌かもしれないという思考に陥らないのではないでしょうか?
健全な精神は、健全な肉体に宿るといいます。
あなたの今現在の生活習慣を見直して、健康的な生活習慣を心がけることも癌恐怖症を克服するためには重要な要素です。
一度今の自分の生活を見直してみて下さい。
特に睡眠不足は心の病を加速させます。
睡眠時間が足りないと感じているのであれば、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。
癌恐怖症は本当に癌になってしまうのか
癌恐怖症で本当に癌になってしまうことはあるのかと検索をされる方も多くいらっしゃいます。
癌恐怖症が原因で本当に癌になってしまうというデータはないので、私個人の意見となりますが、癌恐怖症が原因で本当に癌になる可能性は少なからずあると思います。
癌恐怖症を発症している時、あなたが抱えているストレスは尋常なものではないでしょう。
死の恐怖と常に戦っているわけですから、その恐怖、不安は他人が容易に理解できるような軽いストレスではありません。
その過度なストレスが慢性的に続く状態が続いてしまえば、本当に身体のどこかに異常が出てきます。
それが癌として表れる可能性は0%では無いと個人的には思っています。
恐怖を煽るつもりでは全くありません。
ただ、今あなたが抱えている恐怖と不安は戦わなければいけない存在です。
それほど過度なストレスというものは、健康に悪影響を及ぼすからです。
恐怖と不安でパニックになりそうな時にどう対処するのか?
そういった一時的な対処方法から取り入れる努力が必要だと思います。
しかし、癌恐怖症の真っ只中にいる時は、戦う勇気も気力も持てないかもしれません。
ですので、まずは心療内科に行き、精神安定剤を飲みながら、まずは心の休息をとってほしいと思います。
癌恐怖症を克服するためにも、まずは恐怖や不安と向き合うための英気を養いましょう。
癌恐怖症という病気を上手く利用して前向きな人生を
癌恐怖症というものがどのような病気かおわかりいただけたでしょうか?
筆者も一時期この癌恐怖症を患っておりました。
私の場合は、首のしこりが原因で悪性リンパ腫なのではないかと日々死の恐怖に怯えていましたね。
発症時はちょうど東日本大震災と時期が被っていたので、死が溢れている中での苦しみは本当に辛いものがありました。
あれから数年が経ちましたが、今でもふとした時に恐怖が蘇る時があります。
それでも、発症当時に比べれば上手にこの病気と付き合うことが出来ています。
日常生活も問題なく送ることが出来ています。
ですので、今現在苦しんでいる方も、時間の経過と共に症状が軽くなる時がやってきます。
発症中はかなり辛いものがありますが大丈夫!諦めなければ必ずよくなる日がきます!
この記事を読んで初めてこういう病気があると知った方は、自分が癌恐怖症にならないためにも健康的な生活を心がけるようにして下さい。
そして、今現在癌恐怖症に苦しんでいる方には、この記事をきっかけに治療を前向きに捉え、少しでも症状が改善されることを祈っています。
私が書いた解決方法は本当に表面的なものではありますので、まだ治療をされていないという方は、一度心療内科や精神科に行ったり、心理カウンセラーの方に相談をしてみてはいかがでしょうか?
自分一人で悩んでいても解決は難しいのが心の病気です。
一人で抱え込まずに、まずは身近な誰かに不安な心境を話すだけでも不安が軽くなることもあります。
癌恐怖症は辛いものではありますが、あなたが今生きてる人生をより良いものに変えるためのきっかけとなるかもしれません。
何も目標も無くダラダラと生きていた、不健康な生活を続けていた…etc
そんな生活をガラリと変える起爆剤に癌恐怖症を利用するくらいの気持ちで、この病気に立ち向かって欲しいと思います。
いつかは誰もが死を迎えることにはなりますが、その死を迎えるまでに少しでも後悔を減らすことができるように、素晴らしい人生を送る糧に変える努力をしてみてはいかがでしょうか?
※あくまでも個人が体験したうえでの感想となりますので、記事の内容に医学的根拠はございません。